- 30 さんぶ野菜ネットワーク 下山 修弘 さん
- 29 高橋ファーム 高橋 基弘 さん
- 28 北十勝ファーム有限会社 上田 七加 さん
- 27 北十勝ファーム有限会社 上田 圭豊 さん 中村 梢乃 さん
- 26 宮垣農産 宮垣 良一 さん 宮垣 剛 さん
- 25 くらぶち草の会 森 清和 さん 佐藤 陽亮 さん
- 24 くらぶち草の会 柴田 勲 さん 利波 浩樹 さん
- 23 ファーマーズ・クラブ 赤とんぼ 四釜 昌和 さん 井上 悟志 さん
- 22 那須よかっぺ村 益子 巧 さん
- 21 天恵グループ 津田 卓巳 さん
- 20 天恵グループ 井本 剛文 さん 清水 大輔 さん
- 19 丸友しまか有限会社 島香 友一 さん
- 18 静岡有機茶農家の会 岩崎 忍 さん 飯塚 稔 さん
- 17 有限会社 黒富士農場 向山 洋平 さん
- 16 水の子会 桝永 大志 さん 中山 秀平 さん
- 15 水の子会 上村 一宏 さん
- 14 株式会社飯尾醸造 飯尾 彰浩 さん
- 13 太田農園・甘楽町有機農業研究会 太田 広幸 さん
- 12 株式会社 野菜くらぶ 小林 啓子 さん
- 11 株式会社 野菜くらぶ 竹内 崇 さん 林 駿一 さん
- 10 有機栽培あゆみの会 斉藤 篤司 さん
- 09 株式会社 土佐百 新井 博明 さん 鍋島 祐介 さん
- 08 有限会社 大牧農場 五十川 賢治 さん
- 07 株式会社地域法人 無茶々園 片山 無 さん
- 06 黒崎有機栽培研究会 石渡 剛 さん 山田 光昭 さん
- 05 今井農園 今井 真也 さん
- 04 草枕グループ 右田 忠利 さん 右田 利香 さん
- 03 くだら農園 松井 秀平 さん
- 02 ベジタブルスタイル 櫻庭 和博 さん 長田 顕司 さん
- 01 ベジタブルスタイル 信太 惇吉 さん
策士か詐欺師か? 上田社長の社員教育法

-
らでぃっしゅぼーやのイベントがあった東京タワーで、休憩中に立ち寄った占い師さんから「あなた!今の仕事は天職よ」と言われた話を本当に嬉しそうに話す中村さん。科学的じゃないものはあまり好きじゃないリケジョなのにね〜(笑)
- へー。でも逆子だったりした場合は手伝ってやるんでしょ?
今年はなかったですけどね、難産だったら体の中で子牛の向きを変えたやったりします。
僕か中村さんのどちらかがやるんですが、どうしても無理だった場合は社長にお願いして。
- 真打ち登場!でも基本的に仕事はみなさんにまかせてるんですね。
新人の女の子も僕らがどんなふうに育てるかを見ているというか。
- 策士だな上田社長は! 中村さんの採用の件といい、とぼけたふりして実はしっかり見ている。
社長は「策士じゃなくて詐欺師だ」って言ってますけど(笑)。
- という詐欺師もポイントは押さえて教えてくれるわけですね。ペットと家畜との線引きについて、肉牛を育てることについて……やっぱり酪農とは違う、心情的に難しい部分がありますね。
学生時代に「育てた動物をよく食べものとして売れるよな」と言われたことがあるんです。ものすごく頭にきて、野菜は違うのか?魚は違うのか?って思いましたが、そのときは反論しませんでした。思うところはあるんですが、言葉として表現するのがとても難しいというか、感覚の部分があるんですよね。 時間がたてば表現できるようになるのかなぁ。
- さて、詐欺師上田社長にまんまと乗せられてる中村さん、何か辛いこととかないですか?
「肉がおいしくない、硬い、と消費者から言われたら、それは育て方や調理方法や、何かしら原因があって牛のせいでは全くないんですよね。おいしいお肉と言われるように、僕たちが努力しないといけません」と北十勝ファームの考え方を語る圭豊さん。
あー休みたいですね。今年ね、出産ラッシュのすごい日があって、24時間で8頭生まれちゃったんですよ。寝られなかったですね。生まれて処置してたら他の牛が「あーー生まれる〜」って。疲れ切ってしまいました。へその緒の処置とか、お母さんのおっぱいが汚れてたら拭いてやるとか、いろんな作業があって。
実はね普通の農家さんだったらちょっとくらい汚れててもほっとくのに、彼女は妥協しないんですよ。それは本当にすごいなって尊敬します。
大学で学んだことではなく、ここに来てから勉強したことが全てなので、自分でこれがいいものだということだけ残していった結果なんです。生まれたときに、どれだけ良い菌を摂取できるかで育ち方が決まってくると思うんです。初乳ですね。最初に口に入れるものを泥だらけにしておきたくはないですから。スタートがいいと出荷体重も大きい子に育つように感じます。だから最初だけは気を張って!
- えーっと、ひょっとして自分で仕事を増やしてません?
「休みがありません!」って社長に愚痴をこぼすと、「あなた自分で仕事を増やしてるでしょ」って言われます(笑)。
- 社長にしてみたらありがたい話! さてそんな中村さんの将来の夢は?
ああしたいこうしたいがどんどん出てきてしまうんです。この規模でそれをやっていたら自分が破裂しちゃう!だから小さい規模で30頭だけとかで理想的な育て方をするのが夢なんです。社長もここからどんどん社員が独立していくのが夢だそうなので、自分の牧場を持って私が育てた牛を北十勝ファームに売るというかたちをとりたいです。
- そのためには後任を育てなきゃいけないから、ホントに主夫が必要ですね。上田さんは?
「人だけでなく、家畜も幸せな牧場にしたい」と思っています。そもそも家畜として生まれた時点で幸せではないような気もしますが……。僕らがおいしい牛に育てて、消費者の方々に笑顔で食べてもらえれば、お肉になった牛へ恩返しを出来るのではないかな。そうすれば牛たちにとっても幸せな一生になるのでは?と思います。
-
後ろから牛が来ても「気配でわかるんです」と中村さん。小3から高校3までやっていた柔道はダテじゃない。取材時も後ろからのエサくれ攻撃を見事にかわしていました(笑)。
- 本当に最後まで真面目な圭豊さん! そんな圭豊さんと、牛を育てることが楽しくてしょうがない中村さん。タイプは違いますが同期入社の2人の息はピッタリでした。牛のシアワセとは……の明確な答えは見つかりませんでしたが、北十勝ファームの牛たちはとてもリラックスしてゆったり暮らしていましたよ。
- (2016年6月27・28日取材)
次回は北十勝ファームの2回目。上田七加さんを取材します。